出産
11月28日の夜、ついに陣痛がきた。
ともを病院へ送っていく。すごく不安。大丈夫だろうか?自分に何ができるだろうか?
ともの辛そうな顔。今にも生まれてきそうな切迫感。
病院に到着して診察。
「まだ時間かかりそうだから病室に移動して」
「旦那さんは一度家に戻っていいよ」
一人で家に帰り、食事とお風呂を済ませる。深夜中には産まれるかも。不安と期待でソワソワする。
お風呂から上がると、ともから電話。来た!!!
急いで病院へ。
ともは辛いらしく息が荒い。
「心配ないよ」
こんな事しか言えない。
分娩台に乗せられ、出産に向かって準備が進む。緊張感マックス。
陣痛が始まってから何時間たったんだろ?
ともは大丈夫だろうか?
分娩室には、スピーカーから赤ちゃんの鼓動が響く。
その音を掻き消すように、とものうめき声が響く。
体力の限界っぽい。ただでさえ体力のない嫁なのに。
「頑張れ!!」
こんなこと言っても、いつもなら弱音を吐く嫁。
しかし、
「がんばる!!!」
っておっきな声で言った。
感動した。泣きそうだし、初めてともの事を尊敬した。
酸素マスクを付けながら、意識もうろうとしながら、それでも頑張るって。
深夜1時間半。ついに赤ちゃんの頭が見えた。ここが一番つらいみたい。足の位置が変で、ともは力が入れにくそう。
看護師さんに「足の位置変ですよ」って教えたけど、「こういうものよ」って一蹴された。
仕方なく自分がともの足を支える。お願いだからあとちょっと。
「頑張れ!!!!!」
私も大きな声を出す。
赤ちゃんの頭が抜けた。
と思ったら、するりんって。すっごく早く赤ちゃん出てきた!!!
おぎゃあって泣いてる!!!
あれよあれよと、少しだけ赤ちゃんの身体を拭いて、ママの胸へペチャン。
赤ちゃんはママにぺったり。泣き止んでる!!!!!すげーー!!!!!ママって分かるのか??
出産を見ると泣くって聞いてた。私の目頭は熱くなってるが、なぜか自然と笑顔になってしまう。にやけてくる。
不安から解放されたせいなのか、ママの胸の上でべったりしている赤ちゃん、その光景が可愛すぎるせいだろうか。にやけちまってしょうがない。
ともに、「ありがとう。ありがとう」って心からお礼を言った。
ともは赤ちゃんを見ながら泣いてる。なんて神々しいんだろう。
「旦那さんは外で待っててくださいね」
暗い廊下で一人待つ。さっきの光景を思い出して、にやけながら。
隣の分娩室から誰かが出てきた。
おおおお、中学の同級生だ!!!!!!!
多分話したことも数回しかない。
だけどなんだろ、戦友みたいな感じがする!!!!
その子のところも無事に産まれたらしい。
「よかったねーー♪」
その子と抱き合って喜びたかったけど我慢した。
いよいよ赤ちゃんと正式なご対面。

小っちゃい、可愛い、もうそれだけ!!
生まれて初めて味わう感情。幸せな気持ちってこれか。
もう深夜3時。仕事は6時から始まる。ともに感謝の言葉を述べて家に戻る。
車の中で想う。
「竜之介っていう顔してたな」
翌日、嫁も「竜之介っていう感じだよね」って言ってた。
はい、決定!!
「竜之介、これからよろしくね!!」
以上。
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